あアノコロ記憶のタイムマシン
60代 街・暮らし

昭和44年ごろの缶コーヒー|茶と白と赤の缶を手に歩いた

UCCが缶入りのミルクコーヒーを発売した1969年を起点に、昭和44年〜昭和53年(1969〜1978年ごろ)の、コーヒーを店の外へ持ち出して飲むようになった街の記憶を振り返ります。

昭和44年ごろの雰囲気の駅の売店の台に置かれた、茶色と白と赤の3色に塗り分けられた細長い缶
昭和44年ごろの雰囲気の駅の売店の台に置かれた、茶色と白と赤の3色に塗り分けられた細長い缶(イメージ)

60代の時間軸

UCC上島珈琲は1969年に、世界初の缶コーヒーとして『UCCコーヒーミルク入り』(当時の製品名)を発売しました。同社によると、創業者が駅の売店で瓶入りのコーヒー牛乳を買ったものの、発車ベルが鳴り、瓶を売店に返す決まりだったため飲み残した体験が開発のきっかけでした。発売翌年の1970年に大阪で開かれた日本万国博覧会をきっかけに広まり、茶色・白・赤の3色を使った初代パッケージは1978年まで使われました。 この記事では「昭和44年〜昭和53年(1969〜1978年ごろ)」を、資料で確かめられる発売・開始の時期と、暮らしの中で缶コーヒーに触れた時期が重なる目安として扱います。地域、家庭、学校、手に入れた時期によって体験は変わるため、同じ世代なら同じ思い出があるとは決めつけません。

当時の使い方を思い出してみます。瓶のように売店へ返さなくてよいので、買った缶をそのまま鞄や上着のポケットに入れて歩けました。甘いミルク入りのコーヒーを、電車を待つあいだや仕事の合間に少しずつ飲み、空き缶は駅のくずかごへ入れました。家に持ち帰り、ちゃぶ台の上で家族と分けて味見をした家もありました。

缶コーヒーがあった場所は一つではありません。駅の売店の冷蔵ケース、万博帰りの人で混む電車の中、工事現場の休憩小屋、商店街の酒屋の店先、ドライブの途中の休憩所にありました。 都市か地方か、家や学校の決まり、近くの店の品ぞろえによって、記憶の背景は人それぞれです。

音や手ざわりの記憶として残りやすいのは、冷えた金属の缶が手のひらに張りつく冷たさ、口をつけたときの縁の硬さ、ミルクと砂糖の甘い香り、飲み終えた缶を振ったときの軽い音です。年表には残らない感覚をたどると、そのとき近くにいた人の顔まで思い出せることがあります。

いまは駅にも道ばたにも温かい缶や冷たい缶が並びますが、コーヒーは喫茶店で座って飲むものだった時代に、缶を片手に歩き出したときの新しさは格別でした。 今と比べるのは、便利になった暮らしを否定するためではなく、当時の手間の中にあった工夫や会話を見つけ直すためです。

缶コーヒーを思い出す三つの手がかり

  1. まず、60代の缶コーヒーにまつわる「場所」を一つ思い出します。家、学校、駅前、友だちの家など、固有名詞がなくても構いません。
  2. 次に、その場所で一緒にいた人と、音・匂い・手触りのどれかを一つ添えます。記憶が曖昧な部分は「たぶん」「覚えていない」と書いて大丈夫です。
  3. 最後に、いまの自分へ一言だけ残します。正しい答えを作るためではなく、次に誰かと話せる入口をつくるためのメモです。

思い出の問い初めて缶コーヒーを飲んだのはどこだったか、そのとき誰と一緒にいたか覚えていますか?

出典と編集方針

このページは、公開資料で時代背景を確認しつつ、特定の世代の体験を一つに決めつけない読みものとして編集しています。地域や家庭による違いがあります。あなたの記憶と違う箇所は、間違い探しではなく会話のきっかけとして扱ってください。