60代 ゲーム・遊び
昭和40年代のゼンマイ玩具|畳で跳ねた小さなカエル
鍵を巻いて、そっと畳に置く。手を離した瞬間にブリキのカエルが跳ねだす、昭和40年代のゼンマイ玩具の話です。

電池のいらない動力
日本玩具博物館の解説によると、近代の玩具を動かす力は、ゼンマイからフリクション、さらに電動へと広がっていきました。電池を入れずに、巻いた分だけ動く。昭和40年代(1965〜1974年)の子どもの手元には、そんな仕掛けの玩具がまだありました。
鍵を巻くと、指先に少しずつ固さが伝わってきます。置いて手を離せば、カエルは足を動かして前へ跳ね、勢いが落ちるとぴたりと止まる。止まったらまた拾って、巻いて、置く。遊びはほとんどこの繰り返しでした。
畳の縁に引っかかって向きが変わったり、床の継ぎ目でつまずいたり。思いどおりに進まないところが面白くて、畳に頬をつけるほど目の高さを低くして、その先を追いかけました。
手のひらに載せると軽くて、表面はひんやりしている。ブリキの冷たさと、本物とは違うぎこちない足の動きが、このおもちゃの記憶の芯になっています。
からくりにゼンマイやカムを組み合わせる面白さは、有馬玩具博物館も取り上げています。ただ、手元のカエルの腹の中で何が回っていたのか、子どもには知りようがありません。分からないまま、何度でも鍵を巻きました。
座布団をどけて跳ねる道を空けたこと、家族を呼んで動くところを見せたこと。メーカーの名前は覚えていなくても、鍵の手応えと止まる直前のよろめきは覚えている。カエルが止まるまで、どこに座って見ていましたか。
思い出すための小さな問い
- 鍵を巻いていたのは自分でしたか、年上のきょうだいでしたか。
- カエルを跳ねさせたのは、畳の部屋、板の間、廊下のどこでしたか。
- 止まったあと、すぐ巻き直したのか、しばらく放っておいたのか。
出典と編集方針
動力の移り変わりとからくりの説明は、日本玩具博物館と有馬玩具博物館の資料によります。遊んでいる場面は、当時の家庭の様子を思い描いて書きました。
- 日本玩具博物館:日本の近代玩具
- 有馬玩具博物館:からくりとオートマタ
- 編集確認日:2026-09-08