あアノコロ記憶のタイムマシン
60代 街・暮らし

昭和44年(1969年)ごろのセイコーのクオーツアストロン|ショーウインドーで見た水晶の腕時計

昭和44年〜昭和48年(1969〜1973年ごろ)のセイコーのクオーツアストロンを手がかりに、時計店のショーウインドーをのぞいた日を振り返ります。セイコーの公式資料と電気学会の資料で発売年と精度を確かめ、ガラス越しの金色の光や腕に感じた重み、今との違いをたどります。

昭和44年〜昭和48年(1969〜1973年ごろ)のセイコーのクオーツアストロンを再現したイメージ。時計店のガラスケースの中に置いた、金色の丸いケースに数字のない文字盤の腕時計と、黒い革のベルト。
昭和44年〜昭和48年(1969〜1973年ごろ)のセイコーのクオーツアストロンを再現したイメージ。時計店のガラスケースの中に置いた、金色の丸いケースに数字のない文字盤の腕時計と、黒い革のベルト。(イメージ)

60代の時間軸

セイコーは公式のアストロンの歴史で、昭和44年(1969年)12月に世界に先駆けてクオーツウオッチを発売したと紹介し、大型のロッカーほどあった水晶時計を体積で約30万分の1の腕時計の大きさにしたと書いています。発売50周年の解説によると、ケースは18金で、発売当時の定価は45万円でした。電気学会の資料も、昭和44年に「セイコークオーツアストロン:35SQ」として世界で初めて商品化されたと記し、クオーツ腕時計は、日差で数秒から数十秒の誤差が当たり前だった機械式の精度を、月差15秒程度まで高めたと説明しています。この記事は発売年を起点にした回想で、多くの家でこの時計を身につけていたという意味ではありません。

多くの人にとって、この時計は手に取るものより、時計店のショーウインドーや新聞で見るものだったかもしれません。ねじを巻かなくても電池で動き、時刻がほとんど狂わないという話を聞いて、自分の腕のぜんまい時計と比べた人もいたでしょう。入学や就職の祝いに腕時計を贈る家では、どの時計にするかが家族の話題になった年もありました。

駅前の時計店のガラスケース、百貨店の時計売場、祖父のたんすの引き出し。ガラス越しに光る金色のケース、店の人が布の上にそっと置いたときの小さな音、腕にのせたときのひやりとした重み、毎朝ねじを巻いていた手首の習慣が、店内のじゅうたんの匂いと一緒に思い出されます。

いまは手ごろな腕時計でもクオーツが当たり前になり、スマートフォンや電波時計で正確な時刻をいつでも確かめられます。1日に数秒ずれるのが当たり前だった時代に、1か月で15秒ほどという数字は、ぜんまい時計を毎朝合わせていた人には驚きだったはずです。時刻が合っていることが特別だった時代から、合っているのが当然の時代へ移った流れを、腕時計の歴史は静かに語っています。

あなたが初めて自分の腕時計を持ったのは、いつでしたか。贈ってくれた人、ベルトの色、最初に合わせた時報の音を思い出すと、その腕時計をはめて出かけた日の景色まで戻ってくるかもしれません。

セイコーのクオーツアストロンを思い出す三つの手がかり

  1. まず、60代のセイコーのクオーツアストロンにまつわる「場所」を一つ思い出します。家、学校、駅前、友だちの家など、固有名詞がなくても構いません。
  2. 次に、その場所で一緒にいた人と、音・匂い・手触りのどれかを一つ添えます。記憶が曖昧な部分は「たぶん」「覚えていない」と書いて大丈夫です。
  3. 最後に、いまの自分へ一言だけ残します。正しい答えを作るためではなく、次に誰かと話せる入口をつくるためのメモです。

思い出の問いあなたが初めて自分の腕時計を持ったのは、いつでしたか?

出典と編集方針

このページは、公開資料で時代背景を確認しつつ、特定の世代の体験を一つに決めつけない読みものとして編集しています。地域や家庭による違いがあります。あなたの記憶と違う箇所は、間違い探しではなく会話のきっかけとして扱ってください。