平成20年(2008年)ごろのキングジムのポメラ|喫茶店の机でキーボードを広げ、文章だけを打った電子メモ
平成20年〜平成24年(2008〜2012年ごろ)のキングジムのポメラを手がかりに、文章を打つためだけの機械を持ち歩いたころを振り返ります。キングジムの報道資料と製品ページ、開発物語で発売の年月や重さ、企画のきっかけを確かめ、喫茶店の机やレポートの下書きをたどります。

30代の時間軸
キングジムのニュースリリースによると、デジタルメモ「ポメラ」DM10は2008年11月に発売された電子メモ帳です。文庫本サイズの本体に折りたたみ式のキーボードを備え、電源を入れて2秒で起動し、単4乾電池で20時間動きます。製品ページによれば重さは約340g、キーピッチは17㎜。初年度の販売目標3万台に対して、販売数は約9万台に届きました。商品開発物語で企画者は、外出先で文章を書きたいのにノートパソコンは重くて起動に時間がかかる、「こんな商品が欲しい」と思ったのが始まりだと語っています。サンプルも無い段階で本物そっくりのパンフレットを作って会議で配り、社外取締役の「いくらでも出すから欲しい」という声に後押しされて開発が動き出しました。
折りたたんだキーボードを広げて、画面の続きから打つ。電源を切るたびに保存する必要はありません。日本語入力はATOKで、打ち終えた文章はUSBケーブルでパソコンへ移すかmicroSDに残します。文字数を教えてくれる機能があり、レポートの指定の字数まであとどれだけかを確かめながら打ちました。
駅前の喫茶店の小さな机では、コーヒーの横に黒い機械がちょうど収まりました。パンタグラフ式のキーはカタカタと軽い音を立てて、周りの話し声に混じります。モノクロの液晶は電池を食わず、窓ぎわの明るい席でも字が読めた。電池が切れればコンビニで単4を買えばよく、かばんの底に入れても重さが気になりません。閉じたときの冷たいプラスチックの手ざわりと、開くときにキーボードが滑り出す感触を覚えている人もいます。
通知もメールも届かないこの機械は、スマートフォンを持つ今の暮らしとはずいぶん違います。開発物語には、会議で「メモしかできないのに本当に需要があるのか」と疑問の声が上がったとあり、発売後は記者やライター、小説家から「ポメラがないと困る」という声が届いたそうです。機能を足すときの哲学は「余計なことはしない」。
卒業論文の下書きをゼミの空き時間に打った人、就職活動の志望動機を電車の中でまとめた人、小説を書き始めた人。あなたがポメラで打った文章で、いちばん長く続いたのは何でしたか?
キングジムのポメラを思い出す三つの手がかり
- キングジムのポメラにまつわる場所を一つ思い浮かべます。家、学校、駅前、友だちの家など、名前が出てこなくても構いません。
- そこで一緒にいた人と、音・匂い・手触りのどれかを書き添えます。曖昧なところは「たぶん」「覚えていない」で大丈夫です。
- いまの自分へ一言だけ残します。正解を書く欄はありません。次に誰かとその話をするときの入口になります。
出典と編集方針
このページは、公開資料で時代背景を確認しつつ、特定の世代の体験を一つに決めつけない読みものとして編集しています。地域や家庭による違いがあります。あなたの記憶と違う箇所は、間違い探しではなく会話のきっかけとして扱ってください。
- キングジム ニュースリリース「デジタルメモ『ポメラ』DM10が『2009年日経優秀製品・サービス賞 優秀賞 日経MJ賞』を受賞」
- キングジム「DM10|デジタルメモ『ポメラ』」
- キングジム 採用情報「商品開発物語(ポメラ)」
- 編集確認日:2026-10-31。出来事の事実確認と、個人の記憶・感想は分けて記載しています。