平成9年(1997年)ごろのヤマハのサイレントバイオリン|胴のない細い楽器をヘッドホンで聴いたアパートの夜
平成9年〜平成13年(1997〜2001年ごろ)のヤマハのサイレントバイオリンを手がかりに、胴のない楽器を夜の部屋で鳴らした時間を振り返ります。ヤマハのニュースリリース、価格.comマガジン、週刊アスキーの記事で販売の始まりと音の拾い方を確かめ、耳もとで鳴る弦の感触までをたどります。

30代の時間軸
ヤマハのニュースリリースによると、高い静粛性と、アコースティックバイオリンに近い演奏感を両立させたサイレントバイオリンの販売は1997年に始まりました。価格.comマガジンは初号機の品番をSV100としています。一般のバイオリンの胴体部をなくし、駒に仕込んだピックアップで音を電気信号に変えて、ヘッドホンやアンプから出します。意匠も評価され、Red Dotデザイン賞1998、iFデザイン賞1999を受けました。
弓を弦に当てても、部屋に広がるのはほんの細い音です。耳もとでだけ、木の箱で鳴っているような響きが立ち上がります。弾き方は変わらないのに、楽器が手の中で軽く感じられました。
音楽大学の寮や社宅のアパートでは、夜の練習に金属のミュートを載せていた人もいました。ケースを開けると、胴のあった場所は細い枠で、肩に乗せると思いのほか輪郭が頼りない。顎当てに顔を寄せ、ヘッドホンをつなぎ、松脂を塗った弓を下ろす。弓の毛が弦をこする擦れた音は空気を通して聞こえ、もう一つの音は頭の真ん中で鳴ります。カーテンの向こうの道路の音が消えるので、音程のわずかな狂いがいつもより大きく聞こえました。左手の指先は弦に押されて昼と同じように痛くなる。肘がケーブルに触れると足もとに小さな引っかかりが来て、窓の外をうかがうようにして一度弓を止めたくなります。ヘッドホンを外すと、弓の擦れる細い音だけが部屋に残りました。
2017年に発売20周年の次世代機として出たYSV104は税抜き99,800円。電子回路を外部のコントロールボックスへ移し、重さは従来の約650gから約490gまで軽くなりました。価格.comマガジンが伝える発表会では、ミュートをかぶせたアコースティックとYSV104の騒音レベルはどちらも約60〜65dBでしたが、耳に聞こえる音はYSV104のほうが小さく感じられたといいます。週刊アスキーによれば、練習用のほかライブステージやスタジオでも使われています。
夜しか練習の時間がなかった人、近所に頭を下げなくて済むようにした家、ステージで目立つ形に惹かれた人。サイレントバイオリンを初めて持ったとき、あなたの肩と顎はアコースティックとの違いをどこで感じましたか?
ヤマハのサイレントバイオリンを思い出す三つの手がかり
- ヤマハのサイレントバイオリンにまつわる場所を一つ思い浮かべます。家、学校、駅前、友だちの家など、名前が出てこなくても構いません。
- そこで一緒にいた人と、音・匂い・手触りのどれかを書き添えます。曖昧なところは「たぶん」「覚えていない」で大丈夫です。
- いまの自分へ一言だけ残します。正解を書く欄はありません。次に誰かとその話をするときの入口になります。
出典と編集方針
このページは、公開資料で時代背景を確認しつつ、特定の世代の体験を一つに決めつけない読みものとして編集しています。地域や家庭による違いがあります。あなたの記憶と違う箇所は、間違い探しではなく会話のきっかけとして扱ってください。
- ヤマハ ニュースリリース「サイレントバイオリン『YSV104』」(2017年2月7日)
- 価格.comマガジン「ヤマハ、音がよくなった!サイレントバイオリンの新モデル『YSV104』を発表」
- 週刊アスキー「ヤマハ、エレガントデザインの新エレクトリックバイオリンを発表」(2016年3月9日)
- 編集確認日:2026-11-01。出来事の事実確認と、個人の記憶・感想は分けて記載しています。