あアノコロ記憶のタイムマシン
50代 音楽

昭和58年(1983年)ごろのローランドのTR-909|アナログの太鼓とサンプリングのシンバルを一台に積んだ箱

昭和58年〜昭和62年(1983〜1987年ごろ)のローランドのTR-909を手がかりに、机の上でリズムを打ち込んだ時間を振り返ります。ローランドの特設ページとメールマガジンのバックナンバーで発売年と製造台数、音の作りを確かめ、売れなかった数年から中古店での再発見までをたどります。

昭和58年〜昭和62年(1983〜1987年ごろ)のローランドのTR-909を再現したイメージ。低い机の上に、幅の広い平たい銀灰色の金属の箱があり、奥の縁に小さな黒い丸いつまみが一列に並び、黒いオーディオケーブルが後ろにつながれ、脇に小さな無地のスピーカーが置かれて、薄暗い色つきの明かりが当たっている。
昭和58年〜昭和62年(1983〜1987年ごろ)のローランドのTR-909を再現したイメージ。低い机の上に、幅の広い平たい銀灰色の金属の箱があり、奥の縁に小さな黒い丸いつまみが一列に並び、黒いオーディオケーブルが後ろにつながれ、脇に小さな無地のスピーカーが置かれて、薄暗い色つきの明かりが当たっている。(イメージ)

50代の時間軸

ローランドの特設ページ「909 DAY」によると、TR-909は1983年に約1,300ドルで発売され、約1年間で10,000台が製造されただけで製造を終えました。TR-808の生産が終わった1982年、後継機の仕様をめぐって議論が続いていたといいます。開発の初めに追ったのはドラムをアナログで鳴らす案でした。バスドラムやタムはそれで作り、ハイハットとシンバルにはサンプリングした音を採用しています。ローランドのリズムマシンとして初めてMIDIを搭載したのもこの機種です。

内蔵の10種類のドラムサウンドで一つずつパターンを組み、シャッフルで揺らし、フラムで打ち出しに厚みを足していく。MIDIでほかの機器と合わせれば、自分の部屋で曲の骨組みができあがりました。

部屋の明かりを落として低い机に箱を置き、小さなスピーカーにケーブルをつなぐと、スピーカーの紙が前へ押される感じが、バスドラムの一打ごとに手前の空気に伝わります。つまみの腰は軽く、回すと音の立ち上がりが硬くなったり丸くなったりしました。ハイハットは薄く鋭く、夜の部屋では思ったより遠くまで通る。隣の部屋を気にして音量を下げても、低い音は机の天板を伝って肘に届きました。本体は長く鳴らすと少し温まり、電源のスイッチを切った直後の静けさがやけに広く感じられる。録音した音を翌朝聴き直すと、夜に格好よかったパターンがただの機械の連打に聞こえることもありました。そこでまた一音ずつ入れ直します。ヘッドホンに替えると、シンバルの粒の細かさがよくわかりました。

ローランドのメールマガジンは、TR-808も909も発売当初は音がリアルでないと言われ、あまり売れなかったと振り返っています。それが中古で手にした若い音楽家の手で、ハウスやテクノの音に変わりました。特設ページには、1988年のInner Cityの『Big Fun』も名前が出てきます。いまローランドはプラグイン版を配信し、製品ページは発売から40年近くたった今も影響を聴くことができると書いています。パソコンの画面でも同じ系統の音を呼び出せます。つまみを手で回す感触のほうは、箱のある部屋にしかありません。

楽器店の棚で値札を見ただけだった人、スタジオで借りた人、クラブのスピーカーでしか知らない人。TR-909のあの太いバスドラムを、あなたが最初に耳にしたのは誰の部屋か、それともどのフロアでしたか?

ローランドのTR-909を思い出す三つの手がかり

  1. ローランドのTR-909にまつわる場所を一つ思い浮かべます。家、学校、駅前、友だちの家など、名前が出てこなくても構いません。
  2. そこで一緒にいた人と、音・匂い・手触りのどれかを書き添えます。曖昧なところは「たぶん」「覚えていない」で大丈夫です。
  3. いまの自分へ一言だけ残します。正解を書く欄はありません。次に誰かとその話をするときの入口になります。

出典と編集方針

このページは、公開資料で時代背景を確認しつつ、特定の世代の体験を一つに決めつけない読みものとして編集しています。地域や家庭による違いがあります。あなたの記憶と違う箇所は、間違い探しではなく会話のきっかけとして扱ってください。