昭和59年(1984年)ごろのローランドのJUNO-106|並んだスライダーを夜の部屋で一本ずつ動かしてコーラスを入れた音
パネルの一本一本のスライダーに、一つの役目が割り当てられたシンセサイザーでした。昭和59年〜昭和63年(1984〜1988年ごろ)のローランドのJUNO-106を、ローランドの製品ページと公式ブログが伝える1984年の発売、128の音色メモリー、MIDIとコーラスの話を手がかりにたどります。

50代の時間軸
ローランドの製品ページは、JUNO-106を1984年に手ごろな価格のポリシンセとして発売され、史上もっとも愛された楽器の一つになったと紹介しています。Roland UKの公式ブログによると、発売は1984年2月で、JUNO-60の直接の後継機。音色メモリーは56から128に増え、MIDIが載り、それまでのアルペジエーターに代わってポルタメントが入りました。発振器はデジタル制御のDCOで、音の高さのずれを抑えながら6音を鳴らします。
ブログが「すべてのパラメーターにつまみやスライダーが一つずつある最後の名機の一つ」と書く通り、音作りは手で探します。メニューを開く手間がありません。
六畳のアパートでX字のスタンドを広げ、横に小さなスピーカーを置くと、もうそこが録音室の代わりでした。ランプの光で、パネルの短いスライダーの列に細い影が並びます。指先で一本ずつ上げ下げすると、樹脂のつまみの小さなざらつきが爪にあたる。フィルターを少しずつ開けば、くぐもった音に角が立ってきます。隣の部屋を気にしてスピーカーの音量を絞り、コーラスのボタンを押すと、同じ和音が急に左右へ広がりました。BBDと呼ばれる回路のつくる、ごくかすかなサーッという音がその向こうに残っている。背面のテープ用端子から音色をカセットに移すときは、ラジカセから機械の鳴き声のような高い音が流れ、壁の薄さが心配になります。カセットの背に鉛筆で曲の名を書いて、スタンドの足元の箱へ。冬の夜は鍵盤の白いところが冷たく、弾きはじめの指がしばらく思うように動きませんでした。
いま同じ音を出すなら、ソフトウェア版がパソコンの画面に同じパネルを開きます。製品ページには2〜8音の選択とあり、元の機械の6音に縛られません。音色を残すのにカセットを探すこともありません。
ローンを組んで買った店の名を覚えている人、バンドの先輩に一晩だけ借りた人、スタジオの隅で触った人で、指に残る機械の重さが変わります。JUNO-106のコーラスを入れて最初に部屋で鳴らしたのは、ベース、パッド、きらめく高い音のどれでしたか?
ローランドのJUNO-106を思い出す三つの手がかり
- ローランドのJUNO-106にまつわる場所を一つ思い浮かべます。家、学校、駅前、友だちの家など、名前が出てこなくても構いません。
- そこで一緒にいた人と、音・匂い・手触りのどれかを書き添えます。曖昧なところは「たぶん」「覚えていない」で大丈夫です。
- いまの自分へ一言だけ残します。正解を書く欄はありません。次に誰かとその話をするときの入口になります。
出典と編集方針
このページは、公開資料で時代背景を確認しつつ、特定の世代の体験を一つに決めつけない読みものとして編集しています。地域や家庭による違いがあります。あなたの記憶と違う箇所は、間違い探しではなく会話のきっかけとして扱ってください。
- ローランド「JUNO-106 Software Synthesizer」製品ページ
- Roland UK Blog「Roland Icon Series: The JUNO-106 Synthesizer」
- 編集確認日:2026-11-02。出来事の事実確認と、個人の記憶・感想は分けて記載しています。