昭和53年(1978年)ごろのシャープのMZ-80K|カセットからBASICを読みこむあいだ白黒の画面の前で待った机
部品の大事なところだけ調整を済ませ、あとは自分で組み立てるコンピュータがありました。昭和53年〜昭和57年(1978〜1982年ごろ)のシャープのMZ-80Kを、シャープ100年史の記述と、情報処理学会コンピュータ博物館の解説にある画面の大きさ、音、キットの中身から振り返ります。

60代の時間軸
シャープ100年史によると、1978年5月に電子部品事業本部の部品事業部がマイコンキットのMZ-40Kを出し、同じ年の12月に、BASICで動く組み立てキットのMZ-80Kを発売しました。これが同社のパソコンの第1号機です。翌年には完成品のMZ-80C、1981年には上位機種のMZ-80Bが続き、MZは技術系の学生の憧れになったと社史は書いています。情報処理学会のコンピュータ博物館の解説では、マイコン熱が高まるなか、MZ-80Kはたちまち人気を集め、市場占有率は50%に達しました。
キットといっても、すべてがばらばらではありません。博物館の解説によれば、CPUボード、ブラウン管の表示部、電源、カセットといった大事な部品は調整と検査を済ませてあり、組み立ててから使います。BASICはカセットテープから読みこんで記憶させ、中学1年生くらいで分かる英単語を組み合わせて、画面と対話しながらプログラムを書きました。
10型の白黒ブラウン管は、電源を入れると暗い灰色から少しずつ明るくなり、白い文字が浮かびます。カセットを回すと、テープのこすれる細い音がしばらく続き、そのあいだは画面の前で待つしかありません。博物館の解説には、プログラムで時刻を表示でき、3オクターブの音を出せたとあります。音階を一つずつ書きこんで実行すると、本体の奥から角ばった電子音がピ、ポ、と並んで出てくる。机の上には組み立てに使ったドライバーが出しっぱなしで、ブラウン管の後ろに手をかざすと、温かい空気がゆっくり上がってきました。
博物館の解説は当時の見方として、コンピュータが業務用の大型トラックなら、マイコンは自家用の軽自動車だと書いています。いまはその何倍もの計算をする機械を多くの人がポケットに入れていて、プログラムを書かなくても使えます。英単語を一行ずつ打って動かした手間を知らずに、画面に触れるだけで済むようになりました。
翌年に完成品のMZ-80Cが出てからは、組み立ての工程を通らずに使いはじめた人もいます。キットを自分の手で組んだ人と、完成した箱を電器店から運んだ人とでは、最初に覚えたのがドライバーの重さか、BASICの一行目かも違うはずです。MZ-80Kの白黒の画面で、あなたが最初にBASICで動かしたのは、時計の表示、音階、それとも文字の動きでしたか?
シャープのMZ-80Kを思い出す三つの手がかり
- シャープのMZ-80Kにまつわる場所を一つ思い浮かべます。家、学校、駅前、友だちの家など、名前が出てこなくても構いません。
- そこで一緒にいた人と、音・匂い・手触りのどれかを書き添えます。曖昧なところは「たぶん」「覚えていない」で大丈夫です。
- いまの自分へ一言だけ残します。正解を書く欄はありません。次に誰かとその話をするときの入口になります。
出典と編集方針
このページは、公開資料で時代背景を確認しつつ、特定の世代の体験を一つに決めつけない読みものとして編集しています。地域や家庭による違いがあります。あなたの記憶と違う箇所は、間違い探しではなく会話のきっかけとして扱ってください。
- シャープ「シャープ100年史」
- 情報処理学会 コンピュータ博物館「【シャープ】MZ-80Kパーソナルコンピュータ」
- 編集確認日:2026-11-03。出来事の事実確認と、個人の記憶・感想は分けて記載しています。