あアノコロ記憶のタイムマシン
40代 音楽

平成2年(1990年)ごろのヤマハのQY10|鍵盤のないボタンでコードを打ちこみ電車の座席で曲を組んだビデオテープ大の箱

大きさは、VHSのビデオテープとほぼ同じでした。平成2年〜平成6年(1990〜1994年ごろ)のヤマハのQY10について、ヤマハの企業ミュージアム INNOVATION ROAD の展示解説で発売の年と中身を、英国の音楽誌MusicRadarの記事で画面のつくりと使われ方を確かめています。

平成2年〜平成6年(1990〜1994年ごろ)のヤマハのQY10を再現したイメージ。窓から平らな昼の光が入るローカル線の車内で、木の座席に畳んだ上着が置かれ、その上にビデオテープほどの大きさの濃い灰色の平たい箱があり、暗い小さな液晶の窓とゴムの小さなボタンの列が見え、細いコードで軽いヘッドホンがつながっている。
平成2年〜平成6年(1990〜1994年ごろ)のヤマハのQY10を再現したイメージ。窓から平らな昼の光が入るローカル線の車内で、木の座席に畳んだ上着が置かれ、その上にビデオテープほどの大きさの濃い灰色の平たい箱があり、暗い小さな液晶の窓とゴムの小さなボタンの列が見え、細いコードで軽いヘッドホンがつながっている。(イメージ)

40代の時間軸

ヤマハの企業ミュージアム INNOVATION ROAD は、QY10を1990年のミュージックシーケンサーとして展示しています。解説によると、VHSのビデオテープとほぼ同じ大きさの本体に、8トラックのシーケンサーとAWM音源を詰めこみました。パネルにはキーボードの代わりになるボタンが並び、CやDmといったコード名を入れると、さまざまなジャンルの伴奏が鳴るスタイルシーケンサーも積んでいます。電池で動き、どこでも作曲できる「パーム・トップ・スタジオ」として話題になりました。

コード名を一つずつ打ちこむと、選んだ伴奏が鳴り出す。メロディはパネルのボタンを鍵盤の代わりに押して、一音ずつ入れていきました。小さな液晶をのぞきこみながら、親指で次の音を探します。

MusicRadarの記事は、QY10の画面を二行の液晶で、バックライトはなかったと書いています。明るい窓際では読める文字も、夕方の車内では傾けないと見えません。ヘッドホンの細いコードを本体に差し、膝の上で両手に挟むように持つ。ゴムのボタンは押すたびに小さく沈み、レールの継ぎ目の音と、耳の中で鳴るドラムの拍がときどき重なりました。同じ記事は、QY10を簡単な8パートの編曲を出先で組むための、持ち歩けるスケッチ帳だったと説明し、同時に鳴らせる音は28だったと記しています。乗り換えの駅に着くまでに伴奏をひとまとまり組み上げ、ヘッドホンを外して鞄の底へしまう。上着のポケットには、替えの乾電池が転がっていました。

MusicRadarの記事は、いまのスマートフォンの作曲アプリをQY10の流れを継ぐものとして挙げています。電話と同じ一台で曲を組めるいま、作曲のためだけの箱を鞄に入れて出かける場面は思い浮かべにくくなりました。

ある家では、QY10は部屋の机から一度も出ず、ヘッドホンの代わりにラジカセへつないで鳴らされていました。電池を入れて外へ持ち出した人とでは、同じ一台でも思い出す場所が違います。QY10のボタンで最初にコードを打ちこんだのは、どの電車の座席か、どの部屋の机の上でしたか?

ヤマハのQY10を思い出す三つの手がかり

  1. ヤマハのQY10にまつわる場所を一つ思い浮かべます。家、学校、駅前、友だちの家など、名前が出てこなくても構いません。
  2. そこで一緒にいた人と、音・匂い・手触りのどれかを書き添えます。曖昧なところは「たぶん」「覚えていない」で大丈夫です。
  3. いまの自分へ一言だけ残します。正解を書く欄はありません。次に誰かとその話をするときの入口になります。

出典と編集方針

このページは、公開資料で時代背景を確認しつつ、特定の世代の体験を一つに決めつけない読みものとして編集しています。地域や家庭による違いがあります。あなたの記憶と違う箇所は、間違い探しではなく会話のきっかけとして扱ってください。